浜田省吾

浜田省吾 ON THE ROAD 2022 LIVE at 武道館

 

コロナは連日20万人規模の新規感染者が報告され、一向に収束する見込みが立ちませんね(2022年8月26日現在)

コロナ禍の中でもライブやスポーツなどはルールの下で何とか観戦できるようになりましたが、昨年の省吾さんのON THE ROAD 2021や、その代替のファンクラブツアーが中止になったのは寂しかったですね。

それでも今年1月に日本武道館公演が開催されたのは、本当に嬉しい出来事でした。一本の光の糸が見えたようでした。

 

さて、Road and Skyから武道館公演が発表された時は、嬉しさと、どうせチケットは獲れないだろうなという複雑な思いが交錯しました。

1万人規模の会場に入れる観客はコロナ対策で7~8割程度、そうなると最大で16,000人。

ファンクラブの会員数が約6万人。それに一般の受付もある。ということは倍率は10倍近くになる?

・・・チケットの確保は無理だ。

 

しかし申し込まないとチケットは当たらない。

宝くじでも買うような気持ちと、もしかしたらという淡い期待を持って受付サイトに申し込みをしました。

 

結果、「1/7当選」というメールが届きました。

最初に出た言葉が「嘘・・・」

スマホを持つ手が震え、来年1/7まで何があろうと健康でいなければならない、万一死ぬようなことがあってはいけない。そう胸に誓いました。

(今考えると大げさですが、その時は本当にそう思っていました。苦笑)

 

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2022年1月7日(金)

朝9時55分、福岡空港発の飛行機に乗り込んだ。

 

SNSなどで初日のコンサートは盛況だったが、東京は雪が降ってかなり大変だった、今もまだ雪が残っているという情報を見て、祈ることはただ一つ「武道館までたどり着けますように」

 

羽田空港に到着後、ホテルに荷物を預け、はやる気持ちのまま武道館へ向かう。

前日の雪はいたるところに残っていたが、14時には武道館に無事到着。

ホッとした気持ちのまま、まずはグッズ売り場に向かう。

しかしお目当てだった記念TシャツはSサイズを残してほぼ完売。

マフラータオルだけ購入し、九段下のマクドナルドで軽く腹ごしらえをして開場時間を待つ。

 

 

15:30の開場時間に合わせて再び武道館に向かう。

渡櫓門の屋根から前日積もった雪が溶け、しずくがポタポタと落ちている。

武道館の2箇所の入場口には、すでに長い人の列ができていた。

入口で座席指定を発券しないと座席位置はわからないが、結果としてアリーナ・1階席と、2階席の入口に分かれていた。

 

人って身勝手なもので、武道館のチケットが獲れれば座席なんかどこでもいい、参加できるだけで十分とか言いながら、実際に当選すれば良い席で観たい。2階席か、うーんなんて思ってしまう。

改めて自分自身を業の深い生き物だなと反省する。

 

入場して自分の座席に向かう。

2階 南西 N列。日の丸が目の前。

ステージを左斜め上から見下ろす感じで、距離がある。

そう言えば、1986年の甲斐バンドの解散コンサートもこのあたりで観たなとぼんやり思い出す。

(後で甲斐バンドの半券を見たら2階席の西Q列。やっぱり近かった)

しかし自分よりも熱心な省吾さんファンが多く落選している。ここで目いっぱい楽しもう。会場全体の雰囲気も味わえる。そう自分に言い聞かせる。

 

今回のコンサートは40年前(1982年1月12日)のセットリストを完全再現すると事前に発表されている。

40年前は19歳で九州に片隅にいた(今もそうだが)

当時は東京など遠隔地の情報を仕入れる術を知らず、省吾さんが武道館公演をやったことは後から音楽雑誌を読んだり、アルバム「ON THE ROAD」を聴いて知ったというレベルだった。

 

今回の演奏曲や順番はわかっているが、やはり楽しみだ。

段々と高まる感情のまま武道館の硬い座席に座っていると、客電が暗くなり、省吾さんが歌うビートルズの「In My Life」が流れる。

曲が終わると会場からは大きな拍手。

いよいよはじまる!

 

さて、ここから後のライブの内容は配信やDVDなどで既にファンの皆さんもご存じだと思いますし、ネットに素晴らしいコンサートレポートがいくつもアップされていますので割愛させていただこうと思います。

私が客席で個人的に感じたことだけを記載させていただきます。

(本当に超個人的な感想ですのでご理解とご容赦ください)

ユルイ

※ここから下はセットリストも書いています。完全にネタバレですのでご注意ください。

 

ステージに登場してギターを手にする省吾さん。

もうその姿、生の省吾さんを観ただけで十分という感情がこみ上げてくる。

コロナ禍で大変な中、この武道館コンサートを企画してここまで辿り着いてくれた省吾さんや、メンバー、そしてスタッフに感謝する。

今このステージに立ってくれただけでこのコンサートは成功だ。

そう思うと目頭が熱くなる。

 

1曲目の「壁にむかって」は昨年リリースされた現在のバージョン。

70~80年代の頃の演奏に比べると、まさに熟成された音という感じ。

ただ海の中道などの記憶があるので、もう少し荒々しい疾走感があっても良いなと思っていたのも事実。

そう言えば2018年のファンクラブツアー(FFF)で、第2部のオープニングあたりで歌って欲しかったなと今更ながら思ってみる。

それでも今回のステージで聴きたい曲の1つでもあったし、いろいろ考えながらも十分に堪能できた。

 

続いて「明日なき世代」

2019年に新しいサウンドとなってから再びライブの中心になった曲。昔から好きな曲だったので嬉しい。

エンディングでは省吾さんが「Wow Wow Wooow!」と客席を煽る煽る。

一緒に叫べないって(苦笑)

まあ、マスクの中でつぶやいたけども。

 

「青春のヴィジョン」は私が省吾さんに夢中になったきっかけの1曲。

2018年のFFFで演奏されたときは感動と興奮で倒れそうだったが、今回は冷静に聴くことができた。

長田さんのギターがカッコよかった。

昔のことで、いつのツアーだったか、どの会場だったか忘れてしまったけど、「この曲は福岡のホテルに泊まった時、窓の外を見ながら書いたんだ」と省吾さんがステージで言ったことをふと思い出した。

 

「悲しみは雪のように」は、2019年のファンクラブイベントで「この曲は病気で倒れた母のことを思って書いた」という省吾さんの言葉を聞いて、自分の中で曲に対する受け取り方が変わったような気がする(良い意味で)

 

今回、省吾さんのMCで笑いが起きていたのが2つ。

悲しみは雪のようにを歌ったあと「この曲は昨日は最高に盛り上がったんだよ」

あと40年前の武道館の時に、ステージの後ろに崖を作ってドライアイスを上から滝のように流しながら歌ったらどうだ?と言われて「滝に打たれて修業しながら歌う崖っぷちシンガー」かよと思ったというもの。

 

「いつわりの日々」は「青春のヴィジョン」と同じく2018年のFFFで久しぶりに聴いて衝撃的だった。

「破壊力抜群のラブソング」と言ったのは町支さんだったかな?

メロディーにのった悲しい歌詞は噛みしめると涙がこぼれるほどだった。

しかし今回はゆっくりと落ち着いて曲を楽しむことができた。

 

今回の武道館は40年前のセットリストを演奏しているのに、何だか最近のコンサートの総集編みたいだなと思った。

省吾さんの曲は、どんなに長い歳月が経っても全く色あせないということを再認識した。

 

休憩時にスクリーンに映る1982年の武道館公演や70~80年代の省吾さんの写真を見てからトイレに向かった。

トイレは長蛇の列で、最後尾は外の踊り場(バルコニー?)まで伸びていた。

暖かい会場内からいきなり外に出たのでかなり寒くて震えた。

ふと目を外に移すと、武道館の正面入口の看板の下にはたくさんのファンの皆さんが集まっていた。

たぶんチケットが獲れなかったけど、どうしても武道館に来たい、音漏れでもいいと集まって来られた方々だろう。

申し訳なさを感じながら、せっかく運に恵まれたのだから最後までこのステージを楽しもう。一つひとつの音や省吾さんの動きをしっかりとこの目に焼き付けよう。改めてそう思った。

 

「ラストショー」では武道館の約9割の観客(私の感覚)が両手をワイパーのように振って楽しんでいた。

ワイパーが始まったのは確か2005年のツアーからかな?

いつもこの一体感は凄いなと思ってしまう。

私はJ.BOYでは死ぬほど拳を振り上げるが、この「ラストショー」だけは手を上げれず、省吾さんを見つめながら一緒に歌うのに専念してしまう(もちろん今回はマスクの中で小声で)

やはり93年のツアーの時の思い出がそうさせているのだろう。

(93年のラストショーのことは前の記事で書いています)

 

MCで省吾さんはこれまで日本武道館は5回しか演っていない。

簡単に「ヘイ武道館をやろうぜー」なんか言えないと語った。

最初は無謀とも言われた40年前の武道館公演と、ビートルズが演奏した「神聖な場所」という思い入れがかなり強いのを感じた。

そんな省吾さんの聖地でもある武道館に、3回も参加させてもらえたことに感謝したい。

 

そしてエレキギター1本で歌われた「初恋」のワンフレーズ。

そこから「終わりなき疾走」に繋いでいく流れの時に、在りし日の省吾少年が目の前を駆け抜けて行くような錯覚がした。

 

エンディングの「Hey Hey Hey Hey!」で拳を上げたあとは、お決まりのライブナンバーが続く。

「独立記念日」「反抗期」・・・まったく色あせない。

 

「1981年8月6日に書いた曲です」

省吾さんの言葉、曲に対する思いにブルッと震えた。

町支さんのギターのイントロが響く。

「Woow Woow wo!」で大きく燃え上がる火柱。2階席まで炎の熱気が伝わってくる。

改めて「愛の世代の前に」が持つメッセージを噛みしめた。

 

アンコール2曲目の「High School Rock & Roll」は、今回のコンサートで一番楽しみにしていた。

自分自身、省吾さんのコンサートで生で1度も聴いたことのない曲だ。

(メドレーのTHE LITTLE ROCKER'S MEDLEYは除いて)

もちろん「お母ぁ」は「OH ママ」に歌詞変更。

一緒に口ずさみながら、頬がほころぶほど楽しめた。

 

「Midnight Blue Train」では、緑のレーザー光線とスモークが幻想的だった。

2階席から観るとまるで省吾さんが雲の中で歌っているようだった。

ただ緑の光線がアリーナ全体を覆ってしまっていたので、省吾さんが肉眼でよく見えないということだけが少し残念だった。

 

最後はもちろん「ラスト・ダンス」

ミラーボールの無数の光が武道館全体に散りばめられて行く。

目の前の日の丸にも光の粒が次々と当たる。

こんな時代の中、小さな希望の光が次々と生まれ来るような感じに見えた。

いつもなら観客だけで大合唱をするフレーズも、今回は省吾さんが「もう一度踊っておくれ」と自分で歌った。

早く皆んなで大声で一緒に歌える時が戻ってくることを切に願った。

 

全てが終わり、省吾さんは何度も客席に手を振り、ステージから去って行った。

インストルメンタルの「永遠のワルツ」のメロディーが、規制退場で出口に向かう我々を見送ってくれた。

 

貴重なコンサートに立ち会うことができた。

いつものコンサートと違う思いを抱きしめ、人の波に揉まれながら地下鉄九段下駅に向かった。

 

最後に

今回は40年前のセットリストの再現とはわかっていながらも、「ラスト・ダンス」の後に「この新しい朝に」が演奏されるのでは?と思っていた。

3度もツアーが中止になり、お互いに頑張って行こうというメッセージとして演奏されるのではと。

でもそれはなかった。

「ラスト・ダンス」が終わると、毅然と省吾さんはステージを去って行った。

いさぎよかった。

やはりブレないのが「浜田省吾」だと改めて感じた。

 

【セットリスト】

1. 壁にむかって
2. 明日なき世代
3. 青春のヴィジョン
4. 土曜の夜と日曜の朝
5. 愛という名のもとに
6. モダンガール
7. 君の微笑
8. 悲しみは雪のように
9. いつわりの日々
10. 路地裏の少年
11. ラストショー
12. 片想い
13. 陽のあたる場所
14. 終りなき疾走
15. 独立記念日
16. 反抗期
17. 東京
18. 愛の世代の前に

(アンコール)

19. あばずれセブンティーン
20. High School Rock & Roll
21. Midnight Blue Train
22. ラストダンス

 

 

 

-浜田省吾