浜田省吾

浜田省吾 100% FAN FUN FAN 2018 "Welcome back to The 70's"

2022年8月29日

 

省吾さんのコンサートは、バンドメンバーの皆さんと疾走感あふれるロックで盛り上がるのが醍醐味だと思う。

しかし個人的にはカントリーというかアコースティック的な曲も好きで、前々から一度くらいは弾き語りのツアーをやってくれないかという願望を持っていた。

きっと「夏の終わり」や「愛のかけひき」、「いつかもうすぐ」「AMERICA」などは弾き語りで際立つと思うし、実際に1999年の立川の国営昭和記念公園で演奏されたアコースティックバージョンの「ラストショー」は気持ち良かった。

ただ知人などにこの話をしてみても「うーん、そうかな」という感じだし、きっと実現することはないだろうなと思っていた。

 

2018年に開催されたファンクラブコンサート(FFF)だが、70年代に作った曲のみで構成されるということが事前に発表されていた。

確か昔、省吾さんは「MIND SCREEN」までのアルバムは廃盤にして欲しいなんてステージで笑いながら言っていたなと思い出す。

(当時のアルバムに納得がいかなかったので「初夏の頃」として改めてレコーディングしたとも言っていたような)

そんなアルバム達に収められた70年代の曲たちが、2018年になってどう蘇るのか楽しみだ。

ツアー前には新たにレコーディングされた「Good Night Angel」「Love Train」も発売されている。

 

今回のコンサートは2018年12月8日(土)、市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)が当選した。

当日の17時過ぎに会場に到着すると、あたりはすでに暗くなっており、入場の長い列ができていた。

 

熊本城のおひざ元にある会場。道の向こうには加藤清正公の銅像も建てられている。

この熊本市民会館は、83年の秋、93年のツアーに参加した思い出深いホールでもある。

 

入口で座席券を発券して入場する。

会場内に友人がいたので、お互いの座席を確認する。

友人、1階5列目

私、2階32列目・・・

 

 

きっと神様が「お前はこれまで何度も前で観てきただろう。後ろで十分だ」と言ってくれているような気がした(苦笑)

 

自分の席に座り開演を待つ。

ファンクラブコンサートの良いところは、隣に座ったファン同士で「よろしくお願いします」「どちらから来られたのですか?」、そんな会話が所どころで見られる。

いいなと思いながら、私はなかなか声がかけれない(人見知り?)

 

さて、いよいよコンサートの開演だ。

省吾さんの通常のツアー(ON THE ROAD)なら大体のステージ構成や流れが予想できるのだが、ファンクラブツアーは始まるまでどういう内容や、雰囲気、曲構成か全く想像できない。

今回与えられている情報は、先ほども書いたが省吾さんが70年代に作った曲しか歌われないということだけだ。

(ネットなどでのネタバレ情報は封印している)

 

ステージの幕が上がる。

既にこのライブのDVDは発売されているし、実際にご覧になられた方もたくさんいらっしゃると思うのでご存じだと思うが、ステージ上には真ん中に置かれたイスとアコースティックギターのみ。

 

心の中で「ウォー」と叫び、ガッツポーズ。

弾き語りコンサートだ!

どの曲をやってくれるのだろうか?といろいろ想像しているうちに、「生まれたところを遠く離れて」が演奏される。

わりと静かに語るようなスタートだった。

いきなりテンションの上がる曲じゃないのが、段々と盛り上がっていく予感をいだかせてくれる。

 

「いつかもうすぐ」は、確か2016年の広島グリーンアリーナで省吾さんが予定外の弾き語りをしたんだよねと、一緒に口ずさみながら思い出す。

(ちなみに一緒に口ずさんでも声は出さず、周りに迷惑をかけるようなことはしていませんので)

 

省吾さんが一緒に歌おうと言って「19のままさ」が演奏される。

ステージのスクリーンには歌詞が映し出される。

アルバムは1986年発売のJ.BOYに収録されているが、この曲は初期の頃に作ったということは省吾さんがこれまで何度もステージで言っていた。

今度はしっかりと声を出して歌わせてもらう。気持ち良い。

 

同様に「遠くへ-1973年・春・20才」が歌われる。

1986年のJ.BOYツアーの時は、正直「少し重い歌だな」と思っていたのだが、自分が歳をかさねてしっかり歌詞を噛みしめてみると、改めて良い歌だなと感じる。

省吾さんが「赤いヘルメットといってもカープ女子じゃないので」という喋りで会場を笑わせる。

 

途中から町支さんが合流。

「町支は昔はモテたんだよ」といじる。

また、自分の作る歌の主人公は決して自分ではない。創造の世界だということを何度も省吾さんは言っていた。

(ファンのほとんどは、いやいや省吾さん自身のことじゃんと思っていたのではないかな。笑)

 

再び「一緒に歌おう!歌わないと第2部はないからね」と省吾さんが言って「路地裏の少年」

スクリーンの歌詞を見なくてもファンは大合唱。

大いに盛り上がって第1部が終了。

約1時間、9曲の「弾き語り」のステージ。

第1部のみだけど、夢をかなえてくれてありがとう!

 

第2部はいつものバンドメンバーがステージに揃ってからスタート。

もしここで「壁にむかって」から始まっていたら卒倒したよな・・・

そんなことを個人的に思いながら、「雨の日のささやき」を一緒に口ずさむ。

 

「恋に気づいて」は省吾さんのダンス、ターンのキレに驚く。若い。

ライブで初めて聴く「子午線」

「4年目の秋」も初めてかな?

貴重な初期の曲をしっとりと生で聴くことができて嬉しい。

 

「ミス・ロンリー・ハート」は、個人的に大好きな垣根涼介さんの小説「君たちに明日はない」シリーズの中で主要人物が弾き語りをする場面が書かれており、この曲をステージで聴けたことに感激する。

 

町支さんが破壊力抜群という「いつわりの日々」

救いようのない悲しい曲という意味だろうなと思いながら、SAND CASTELバージョンの演奏を聴く。

切ない歌詞がメロディーに重ねられ、涙が頬を伝う。

なぜだろう、こんな悲しい恋の経験なんかしたことないのに。

 

「風を感じて」「涙あふれて」は2011年のツアーで演ってくれたので、懐かしさよりも楽しんで一緒に歌うことができた。

 

第1部の弾き語りに続いて、自分の中で今回のハイライトが「青春のヴィジョン」だった。

長田さんがうねるようにギターを弾いてイントロにつなぐ展開に「え?もしやこの曲は・・・」と胸の鼓動が高まる。

「何ひとつ守るべきものは無いと感じる」

心の中で「ウォー!!!」と再び叫ぶ。

省吾さんと1対1のバトルみたいな感覚でこの曲に向き合う。

省吾さんの歌う姿以外何も見えなかった。最高。

 

「君が人生の時」で第2部が終わり本編が終了。

そしてアンコールも最後は「ラスト・ダンス」

「最後も一緒に弾き語りで歌おう」と生ギター一本で演奏された。

この展開は想像できていたとはいえ大好きな曲だ。素直に嬉しい。

エンディングの「もう一度 踊っておくれ このままで」の部分を省吾さんが観客にうながす。

ファンの大合唱に満足そうな省吾さんの表情だった。

 

自分にとって、これまでのファンクラブコンサートでは1、2を競うステージ内容に大満足。

このような企画を立ててくれた省吾さん、スタッフの皆さんに本当に感謝する。

次回のファンクラブコンサートは80年代前半のアルバムからの構成を計画しているということ。

浜田省吾さんのファンは本当に幸せだと噛みしめた。

 

(・・・しかし2年後、コロナの影響でライブの予定等が大きく変わるということをこの時は知る由もなかった。泣)

 

【セットリスト】

(第1部/弾き語り)
1. 生まれたところを遠く離れて
2. あの頃の僕
3. いつかもうすぐ
4. 19のままさ
5. 遠くへ-1973年・春・20才
6. 朝からごきげん
7. 君に会うまでは
8. 君の微笑
9. 路地裏の少年

(第2部/バンド)
10. 雨の日のささやき
11. 恋に気づいて
12. 悲しみ深すぎて
13. Love Train
14. 子午線
15. 4年目の秋
16. ミス・ロンリー・ハート
17. いつわりの日々
18. 風を感じて
19. 涙あふれて
20. 今夜はごきげん
21. 青春のヴィジョン
22. 君が人生の時

(アンコール)
23. Good Night Angel
24. 行かないで
25. ラスト・ダンス

 

【最後に一言】

垣根涼介さんの小説「君たちに明日はない4・永遠のディーバ」で、元バンドマンの会社員がバーで「ミス・ロンリー・ハート」を弾き、バーの若いマスターが感動して何の曲か教えて欲しいという場面があります。

NHKドラマにもなったことのあるこの小説のシリーズは本当に面白いです。

ユルイ

 

 

-浜田省吾